赤い靴

雨の日の靴へのダメージは、
晴れの日に履く1ヶ月分くらいのダメージだと聞いたことがある。
だから雨の日は、お気に入りの靴は大切にしまっておいて、
下駄箱の奥から最近履かなくなった靴を出して来て履いたりする。
今日は雨だから古いコンバースを履いて出掛けた。

夕方からアナログフィッシュのリハーサルだった。
たぶん、僕と同じように晃くんも雨の日用にチョイスした靴だと思われる
懐かしい「カンペール Nライン ビッグフット」のスニーカーを履いてた。
晃くんは「今、ありか、なしか、で言うと『なし』」とは言っていたが、
久しぶりに見るととても可愛い形だった。


僕も大阪にいた頃は一目惚れして探しまわったのを覚えてる。
もう12、3年前かな、うろ覚えだ。
古着屋の兄ちゃんが履いてた黒のレザーが欲しくて、
どこで手に入れたか聞いたが、その頃はまだ日本にオンリー店もなく、
誰かが輸入したものを見つけるしか手に入れる方法はなかった。

ちょうどグッドタイミングでイタリアへの航空券をタダでもらった。
前にも書いたが、妹と母と母の友人の3人で行く予定だったが、
その友人が急に仕事で行けなくなって、どフリーだった僕にパスが回って来た。
スペインのメーカーだからイタリアなら絶対にあると思いカンペール狙い撃ちで旅立った。

午前中に母と妹と色々回って、彼女らが疲れたところを見計らって僕だけ街に出た。
もちろん、カンペール Nライン ビッグフットの黒のレザーを買うため。
一件目に入ったお店で、根掘り葉掘りと身に付けている服の質問をされた。
僕は英語もイタリア語も出来なかったが、身振り手振りで何とか会話が出来た。
店員が言ってたのは「お前はロンドンを回ってからイタリアに来たのか?」
「たしかに日本人だよな?」と何度か確認された。
僕は「いいや、日本から来てまだ3日目だ」と言うと、
首を傾げながら「じゃあ、これはどこで買ったんだ?」と
僕が身につけている時計とカーディガンを指差した。
ポール・スミスの腕時計にヴィヴィアンのカーディガンを
身につけてたので「ロンドンだ」思ったんだろう。
僕はなんとか説明した。
日本で買ったことと、日本にイタリアブランドの店もたくさんあることを話すと
店員さんは、どこか腑に落ちないらしく不服そうな顔をして無愛想になる。

このとき、日本の物流は凄いなと思った反面、
完璧に海外ブランドから日本はカモにされてるんじゃないの?と感じた。
で、その店のオリジナルだと言う、ジャージー生地のシャツを買った。


うろ覚えですが、たぶん地下道にある店だったと思う。
ショーウィンドーにカンペールのスニーカーがある。
僕は心の中で「ブラック、レザー、ブラック、レザー」
と何度かつぶやきながら店に入って行った。

店員は僕がアジア人だとわかると、
店員同士高速で話していたのにゆっくり「チャオ」と挨拶してくれた。
僕が、ショーウィンドーを指差して、
「カンペール・・ブラック・・・レザー?」と語尾を上げて言うと大きくうなずいた。
そこに座ってくれと、カラフルなソファーを指差して僕を待たせる。
すると、5つほど靴の箱を持って来た。
その中の1つを開けて真っ赤なビッグフットを取り出して僕に履かせる。
僕は「そうじゃない」と「ブラック、レザー!」と言うと優しい笑顔でうなずく。
真っ赤なビッグフットはレザーではなくメッシュの入ったよくあるスニーカー生地だ。
それを見て、「お前は、本当に赤が似合うな!」と僕をおだてる。
イタリア語はわからないが、絶対にそんな感じにおだてたはず。
他の店員にも言う「おい、そうだろ?コイツには赤だろ!」
「そうね、赤だわ」とセクシーな女性店員も僕を褒めまくる。
ここまでは僕も予想通りさ、イタリア人の調子の良さだけは頭に入れて来た。

「そうじゃなくて、黒のレザーはあるのか?」と強く聞いた。
次は、僕を立たせて鏡の前まで誘導する。
「ほら、ね。」的な感じで赤以外履かせない。
そして、とても綺麗な女性のお客さんが入って来た時に
何を思ったか、店員2人は、そのお客に聞いた。
「この赤のスニーカー、彼にとっても似合ってるわよね?」と
なら、その綺麗なお客さんはうなずきながら「ええ、とっても似合ってるわ」と言った。


で、僕は、その赤いカンペールを買うことにした。


定番は黒のレザーなんだよ。日本では赤は誰も履いてなかった。
今日リハで晃くんが履いてたのも黒のレザー。


おやすみ。
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by hisa_coff | 2009-12-04 04:52 | デイリー