縁結び空港
出雲の名の通り出雲空港の上空は曇り。
搭乗して窓の外を見ると整備士さんらしき人たちが整列している。
やがてエンジンが始動し、飛行機がゆっくりと動き出すと大きく腕を振って
「いってらっしゃい、よい旅を!」を投げ掛けてくる。
いつも思う、この投げ掛けに応えられる心にゆとりある大人になりたい と。
機内で手を振る勇気もなく、ただ眺めているだけ。
ターミナル屋上に目をやるとやっぱり手を振る人がたくさんいる。
整備士さんらとは違う心地であると思うが
「いってらっしゃい」や「サヨナラ」などいろんな心地で見送っている。

大きなお世話だけど、
ジャンプしながら手を振る少年らしき人の背景を滑走する機内で妄想する。
もしかしたらこの機内に恋人が乗っているかもしれないし、
久しぶりに自分を捨てた親父との夏休みだったかもしれないし、
僕からは遠くて見えないが泣きじゃくっていて辛い別れに堪らずジャンプしたかもしれない。

徐々に加速し、ターミナルビルが途切れても滑走路はのびている。
それに平行して空港に続く一般道路が走っていて、路肩に見覚えのある車が停まっている。
窓から大きく手を振ってるのと降りて車の隣で手を振ってる気配が見えた。
あ、我が家族!僕は隣に座るおっさんを気にしながらも窓の幅だけ小さく手を振った。
ちょうど、手を振る人等の心理を妄想してたとこでしたからジュワッと感動した。

出雲空港は最近、出雲縁結び空港と名を変えたらしい。
以前利用したときは、空港は縁を結ぶだけじゃなしに別れもあるだろう と
心の中で突っ込んだが、手を振られる身になってみると
縁遠い冷たい別れは空港までわざわざ見送りをして別れないだろうし、
見送りしたくなる別れはそれだけ縁が強く結ばれているのだ。
結果、空港にある出会いと別れは、さらにその縁を強く結ぶのだと思った。

見覚えのある車が小さくなるのと反比例して込み上げる感動。
この涙の水分もまた出雲の雲のかけらにでもなってくれよう。
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by hisa_coff | 2011-07-27 19:15 | デイリー