人気ブログランキング | 話題のタグを見る
目黒のさんま

昔の御身分の高い方々は、下々の庶民の生活はご存じありません。
ですから常々少しでも知りたいと思っております。

天候に恵まれた初秋の日。
お殿様がご家来を連れて、目黒不動参詣をかねての遠乗りにでかけました。
目黒(その頃、江戸の郊外だった)に着かれたのはお昼近くのことでした。
近くの農家から、秋刀魚(さんま)を焼くいい匂いが漂っております。
その時、ご家来が

「かような腹ぺこの折りには、秋刀魚で一膳茶漬けを食したい」


といったのを聞きつけたお殿様、

「自分もぜひ秋刀魚というものを食してみたい」


とご家来に所望した。
さあ困ったご家来衆。

「秋刀魚とは下魚でございますゆえ、
お上のお口にはいりますような魚ではございません」


といったものの、お殿様のお言いつけではしかたがない。
何とか農家のおじいさんに頼んで焼いた秋刀魚を譲ってもらうことにした。
お殿様は、生まれてはじめての秋刀魚がすっかり気にいられた。
お腹が空いていたことも合わさって忘れられない味になってしまった。
ところが屋敷に帰っても、食卓に秋刀魚のような下魚は出てこなかった。

ある日のこと、親戚のおよばれでお出掛けになりますと

「なにかお好みのお料理はございませんでしょうか。
なんなりとお申し付けくださいまし」


というご家老の申し出に、すかさず秋刀魚を注文した。
親戚は驚いて、日本橋魚河岸から最上級の秋刀魚をとり寄せた。
このように脂が多いものをさしあげて、もしもお体に触っては一大事と、
十分に蒸したうえ、小骨を丁寧に抜いて、だしがらの様になった秋刀魚を出した。


「なに、これが秋刀魚と申すか。まちがいではないのか?
たしか、もっと黒く焦げておったはずじゃが・・・」


脂が抜けてぱさぱさの秋刀魚がおいしいはずがありません。

「この秋刀魚、いずれよりとりよせたのじゃ?」
「日本橋魚河岸にござります」
「あっ、それはいかん。秋刀魚は目黒にかぎる」


※参考文献:『古典落語(上)』興津要編 講談社文庫



そんなわけで「目黒のSUNまつり」に行って参りました僕です。
鮪、鯛に続いて「さんま」が好きな僕です。
この祭りの存在を去年テレビで知って、この日を待っていた僕です。
朝早く起きて10時前に会場に到着した僕です。
係員さんに「この列に並べば、さんまが食べれるんですか?」って聞いた僕です。
係員さんに「ええ、これに並んでください。ここでまた会いましょう。」って言われた僕です。
列を整備する人にうちわをもらった僕です。
最後尾は見える所にいない僕です。
列を辿って歩いて800mくらい?徐々になめてたことに気付いた僕です。
最後尾を見ることなく諦めた僕です。
他の催し物をターゲットに置いた僕です。
色んな国の大使館が屋台を出してたので心躍る僕です。
そこでキルギス共和国って言う国を初めて知る僕です。
フェルトで作った工芸品がとても素敵だと感じた僕です。
アルゼンチンのチョリパンってヤツをかぶりつく僕です。
目黒のさんま_f0037239_1919544.jpg

ケニアのチャイが美味しかった僕です。
ジャマイカの屋台は開会2時間経って、ようやく仕込み!  ビビった僕です。
やはり、国民性は、突っ込めない僕です。
とりあえず、さんまが焼かれて模様を横目で見る僕です。
目黒のさんま_f0037239_19274132.jpg

「SUNまつり」にさんまを食えなかった僕です。
来年は早朝から列に並ぶと決めた僕です。
それにしても、「さんま」を「秋刀魚」と書くことを今日知った僕です。

by hisa_coff | 2006-09-17 19:35 | デイリー