ジプシー


「ジプシーの伝説とメルヘン」という本を読んでるのですがとても素敵です。
ジプシーの中に伝わってきた話をまとめた本なのですが、読んでてワクワクするんです。
少し古いくらいのメルヘンは、月日の浅さに作り話の軽さを感じるけど、
やっぱり、昔から伝えられてきた話だからこそ閃きで書いたわけでない重さを感じるんです。
言い伝えられてきた事で、いらない部分は削ぎ落とされ、細かい描写は全くなく、
ざっくりとした話だからこそ自然に想像力が働いて幻想的な世界が浮かぶんです。
読んでて思ったのですが、話のすべてが疑問から始まっているような気もする。
例えば、「なぜ、人間ができたか?」「なぜ、悪魔は黒いのか?」
「どうやって、世界ができたのか?」「なぜ、死ぬのか?」的な疑問があって、
その疑問の答えなど誰にもわからないのに、それを納得させる物語が作られている。
著者のハインリヒ・フォン・ヴリスロキ氏は1883年の夏から数ヶ月間、
ロマの一群と放浪生活をともにして生活の中から話を収集したように書かれてる。
このロマってのが北インド起源の移動型民族でジプシーと呼ばれてるらしい。
ただジプシーを物乞い、盗人、麻薬の売人の代名詞のように使う人間も多いんです。



確かに僕がイタリア旅行に行く前、行った時、ジプシーに気をつけろ!と言われてた。
街を歩いていても背負った鞄の中に手を突っ込んできたを覚えてる。
しかも、そのスリの子供らをジプシーと認識してたのも確かです。
街はそれが慣れてるようで、タクシーの運ちゃんがクラクションを鳴らして、
観光客に注意を促し、ジプシーを追い払う。
もっとショッキングだったのは、その子供らが走って行ったところには、
建物の階段に新聞を読み座り込む母親らしき人。
薄汚いショールをまとい子供らにスリをさせてる。
らしい、、、この目で見たんですが、信じたくないので、「らしい」にしておきます。


でも、そのジプシーの使い方は偏見そのもの。
日本にはしっかりとした情報は入って来ないからジプシー=盗人は危険。
どんな民族にも良い人もいれば悪い人もいる。ただそれだけ。


この本の中にも書かれてる。
キリスト教のように悪魔をネガティブな存在ととらえずに、
悪魔をユーモラスな存在に書いてます。
ニュアンス的にはアンパンマンで言うとこのバイキンマン的な感じだな。
神様がこの世で最初に友達になるのも悪魔です。(ジプシーのメルヘンの中で・・・)
しかも、イタズラを繰り返しその度に火傷を負ったので悪魔は黒い!
的なお茶目な書き方をいてるし、最初から善と悪は共存するような物語は多い。
人間の中にも僕自身の中にも良い心と悪い心がある事を露呈されてる感じもする。


それから、納得できないものをこじつけを用いて説得力を持たした物語もある。
「金髪の人間誕生」と言う話は強引過ぎた。
黒眼&黒髪が基本のジプシ−、他民族との血が混ざるのを拒否する。
でも、金髪のジプシーがいることを言い訳するような物語があった。
あくまでも僕が勝手に解釈してますよ・・・。


霧の王の王妃、雪の王女は雪のように白い肌、金色の太陽のように輝いた髪、
春の空のように青い眼で、雪におおわれた自分の国は「愛」を知らない、
だから「愛」を教えてくれ!とジプシーの前に現れた。
若者が雪の王女と結婚し、20年で20人の子供にめぐまれ愛を知る。
その子供達は皆、王女に似ていました。(それは金髪ということを強調してる)
その夫が亡くなり愛を無くした痛みも知る。
そして未亡人になり、結婚を迫る男達がたくさんいるのに断る。
前の夫、霧の王との約束のため(ここ少し引く。そうだよね!結婚2回目だったよね?)、
自分の国に痛みや愛の意味を持って帰る。(これが目的だった)
そして、雪の王女がジプシーたちにお願いしたのは、
20人の子供達を愛情を持って育てて欲しい!ってこと。
そして濃い霧が雪の王女をさらって行った。
残された20人の子供達も結婚をし、金髪の人間が誕生した。


これ、明らかに雪の王女は北欧女性をさしてて、
混血したのは愛を教えたからなんだよ。。。。という言い訳じみた感じが素敵。
そこには凄く人間的な内容なのに、「雪の王女」という言い回しになぜか神秘を感じる。
まだまだ、素敵な言い回しがたくさんあるんです。
「黄金のリンゴが実らなくなったのは樹の根っこに大蛇が噛み付いてるから!」だって
素敵過ぎでしょ?その大蛇を殺したら黄金にリンゴがなるんだよ。
「ノアの方舟」に似た「大洪水」という話もあった。この話も極端な話だった。


川にはワインとミルクが流れてて、大地は素晴らしい果実を生み出し、
悩みや苦しみ、寒さや病気も無く人間を苦しめるものは何もなく、
人間は永遠に死なない、死に恐れる事の無い時代でした。
省略します・・・。
人間の過ちから、生きるために働き、家を建て、まめを蒔かなければならない。
その時から、人間の生活は辛く苦しく、病気と死が加わった生活になった。らしい。。。

ワインとミルクって!河で混ざったら逆に不味いだろ。
まあ、それはいいとしても、死があるのは人間の過ちのせいだと書いてある。
こんな極端な発想を聞いた子供達は納得するしかないだろ。
そして、ワクワクする話は、またその子供に伝えられて行き、
いらないものを削ぎ落とした完璧なメルヘンとしてこの世に残って行く。
最高っすね。



ああ、何度も言ってますが無宗教です。
ちょっと、そんな話っぽいので書いておきます。
こんなに書いたのに、たぶん伝わりにくいだろうな。。。。



おやすみなさい。


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by hisa_coff | 2007-09-23 02:03 | デイリー