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CBR400Fを見つけて思い出したことが、また、長いこと・・・。

初めて大きな買い物をするときってのは、ハズレを引きたくない一心で情報を収集する。
それが新品を買えない若者にとって、中古品の情報は新品を選ぶより大変だ。
15歳の欲望はドキドキの恋愛よりも見栄だった。
誰よりも早くmy単車を手に入れるために中学卒業の春休みからバイトした。
親にねだって買ってもらえるような金額ではないし、
それに単車そのものを見せれる予感はしなかった。

心細い僕はMくんと一緒にバイク屋さんでバイトをしようと手当たり次第バイク屋をまわった。
ほとんど、相手にしてもらえなかったが、僕の街から西国街道で東に2キロくらい、
喫茶店とバイク屋さんがくっ付いた感じの良い店があった。
また断られるだろうと思いながらも僕らは「働きたい」と伝えた。
若い主人は店の説明をする。
隣の喫茶店は奥さんが営んでいて、バイク屋は自分がやっていると誇らしげ。
主人は言った「2人一緒だったら時給250円だ。1人だったら350円だ。」
僕は心の中で「ええ〜、250円って?マジで?」そう突っ込むよ。でも、主人は真剣だ。
一応、フロムAの存在も知ってる。アルバイトの時給の相場も知っている。
高校入学間近のガキに相場より少し安い時給を提示するのは覚悟してた。
けど、予想を遥かに下回る半額の250円とは!
それだけで400ccの単車の妄想が、50ccのジョグやパッソーラ、良くてチャンプに変わるだろ。
理想は、ホンダのCBR400Fである。(四角いライトの方)
ホットロードと言う漫画でもハルヤマが乗っていた。
しかも、ハルヤマ仕様というのも流行った。
そのように改造するためにはBEETのテールカウルだったりアルフィンカバーも必要。
250円の条件を飲むと言うことは、主人に素晴らしい青春を潰されることになる。
とりあえず、バイク屋を出て「俺はやめとく。Mくんバイトしなよ。」って伝えた。

翌日からMくんはそのバイク屋で働き始めた。
僕は酒屋さんの配達の横乗りをすることにする。
この酒屋が僕が上京するまで青春の光と影をずっと映し出してくれた。
僕がグレて行く様子、僕が音楽に狂い始める様子、僕がデビューをする様子。
若者の変わりゆく夢や道を客観的に見守ってくれてたその酒屋の時給は450円。
これなら、見えてくる、僕がCBRに股がる姿が見えてくる。

バイトは中学時代の部活よりしんどかった。
それに見栄を張って頑張っても女子の声もない。
それに、働きたいわけではなくお金が欲しいわけで、僕はすきをみては休んだ。
全ては見栄のため、単車持っている俺ってどう?的な感じ。
学校行ってバイトして学校休んで教習所行って、教習所行ってバイトして、
タバコ見つかって停学して、ここぞとばかりに教習所。
教習の金もえらかったけど、情報収集の結果15万円でCBRが買えるところまでこぎつけた。
少し癖がついていて手を離すと右に傾いて走って行くようだけど、僕は気にしない。

僕はKくんとその単車の持ち主の家まで行った。
Kくんの単車はGPZだったかな?少し車高が高い厳つい単車だ。
その街のローソンで持ち主の後輩が待っていて原チャリで誘導してくれる。
ただ、このやりとりに僕は正直ビビった。
なんで、このローソンでワンクッション置くのか?意味がわからなかった。
その後輩は丁寧だけど、シンナー臭いし汚い。
持ち主は家の前で大勢の集団で待っていた。
いつも勢いのいいKくんもこれには素直なツラを見せる。
僕も、買うのヤメようかと思うくらいの圧倒的な怖さだ。
「どうも」的な挨拶にビビってるのが悟られて、持ち主の先輩らしい人が僕の肩を抱いた。
よく覚えてる。。。「おまえ、ちゃんと乗れんのか〜?」って噛み締めた声で言ってくる。
ビビりながら「はい」って応えた。
約束通り先に10万円払って、僕はCBR400Fを手に入れた。
怖くてもこの値段で買えるなら問題ない、うん、素晴らしい。

自分の街に戻って皆に見せたら「これなら安い!」と絶賛。
すでにBEETの羽根は付いていてアンコも抜いてある。
セパレートハンドルも付いてるしかもイタリア製のトマゼリセパハン。
マフラーは、ほぼ直管でバカうるさいけど、詰め物をすれば何とかなる感じ。
CBR400Fの最大の特徴は、大きく加速したい時、ギアを落としてアクセルを吹かす、
加速し、タコメーターのレッドゾーンに針が差し掛かる。
忘れたけど、エンジンの回転数7000〜9000(うろ覚え)に差し掛かったら、
低い音を立ててたエンジンが一瞬音が消えて甲高い音に変わってスピードが出る。
これがCBRの最大の特徴。当時は「レブに入る」と言っていた。今も意味はわからん。
その実験をする。
かなりのスピードを出すため街のバイパスを走り抜ける。
ここでは書けない速度で僕は風になるのに甲高いエンジンの音は全くしない。
どういうこと?レブがなかったら意味のないエンジンじゃん?
僕は何度もバイパスを行き来した。
何度トライしてもレブは入らない。もしかして15万円の落とし穴はレブ無しってこと?
見栄を張るだけであってもCBRの本質を忘れるわけにはいかない。
持ち主に言った「レブが入らへんねんけど、エンジンおかしいのか?」って、
そしたら「レブってなんや?」って言われた。
それが、「見栄ってなんや?」に聞こえた。


半年後にCBRを10万円で売って、次は27万円でヤマハのFZ400を買った。
そのFZを隣のクラスのM野くんに32万円で売った。商売上手!

さっきコンビニへ行く時、CBRを見た。
色々、思い出せたよ。

by hisa_coff | 2007-04-15 16:21 | デイリー